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第4話「足の痛みねんざ外来」での治療とは?その②エコーガイド下手術

こんにちは、スポーツ医学科医師の服部惣一(はっとりそういち)です。「足の痛みねんざ外来」を担当しております。前回のコラムでは、「足の痛みねんざ外来」でどのような治療を行っているのかをご紹介しました。そこでは以前から行われてきたリハビリ治療やサポーターなどに加え、エコーガイド下での無痛注射治療について述べさせていただきました。これらの治療で90%の人は良くなるのですが、靱帯(じんたい)の緩さに由来する痛みが取れない場合やねんざを繰り返してしまう場合は、エコーを使った究極の低侵襲手術を行います。

写真1:研究所の外観

写真2:研究所のボス Dr.Richard Debski

第1回のコラムで詳述しましたが、そもそも留学を志したのはエコーを使った世界初の手術を開発するという目的がきっかけでした。その志をもってピッツバーグのDr.Richard Debskiの研究所(OrthopaedicRobotics Laboratory)の門を叩き、研究・開発の許可を得ることができました(写真1・写真2)。私が開発しようとしていたのは、わずか5mmのキズ一つを作って、緩んでしまった靱帯を縫合するという手術でした。従来の手術のキズが7cmでしたので、いかにキズが小さいかが分かると思います(図)。キズが小さいことは、痛みが少ないことや、創部感染や神経損傷のリスクを下げることにつながります。

ただこの手術の研究・開発は決して平坦な道のりではありませんでした。まずコロナ禍によって3か月もの間、研究所が閉鎖されました。2019年11月に渡米し、ピッツバーグでの新生活を始めました。子ども達を現地の学校に通わせ、私も研究所での生活を始めましたが、その生活に慣れてきた矢先の2020年3月にコロナ禍が始まりました。ピッツバーグ市はロックダウンとなり学校も休校となりました。研究所が再開したのは2020年6月半ばで、気がつけば当初の帰国予定であった7月20日まであとひと月と迫っておりました。

研究所が再開されるや否や急ピッチで実験を再開しましたが、新たな問題に直面しました。アメリカでは研究や開発のためにご遺体を用いることが認められており、私も提供いただいたご遺体を使って小さなキズ一つで緩んだ靭帯を縫合する手術の開発を行っておりましたが、新たな提供を受けることが難しくなったのです。そのため、先に提供いただいたものを少しも無駄にすることがないよう、繰り返し手術の開発に取り組みました。提供いただいたご遺体の約半数で靭帯が緩い状態となっていたことから、おそらく生前に足首をねんざしていたことがうかがえました。

ようやく手術の実験が最初に成功したのが、7月20日で当初の帰国予定日でした。この実験をあと8回繰り返し成功させる必要があったので、病院にお願いをして帰国予定を2か月間延長させていただきました。最後に直面したのが、インプラントが足りないという壁でした。日本ならばインプラントを供給する会社に頼めば、新しいものを直ちに持ってきてくれるのですが、アメリカではそうもいきません。8月の時点で「新しいインプラントが入るのは早くて3か月後…」と言われてしまい、「ああ、もうダメだ…」と思いました。これをDr.Debskiに相談したところ、「インプラントを再利用してはどうか?」と解決法を与えてくれ、必要な数の実験を2か月の間に成功させることができました。

文責:亀田総合病院 スポーツ医学科 服部惣一
(2021.4.15作成)

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