呼吸リハビリテーションについて
2007/11/01
今回は呼吸リハビリテーション(呼吸リハ)の紹介です。まず、呼吸器とは呼吸をする時に使う体の部分のことで、空気の通り道である鼻、のど、気管支、肺などを指します。また、呼吸をする時に使う胸やお腹の筋肉も呼吸リハの対象になります。
呼吸リハの目的
呼吸器の病気を患うと歩行時に息切れや息苦しさ(呼吸困難感)が生じるため、歩行することを躊躇(ちゅうちょし)、足腰の力が衰え、どんどん日常生活の活動が制限されてしまうという悪循環が起きてしまいます。そんな悪循環を断ち切るため、呼吸困難感を改善することを目標に行うのが、「呼吸リハ」です。
呼吸リハはチーム医療であり、患者さまやそのご家族を中心に医師・看護師・理学療法士・作業療法士・言語療法士・栄養士・薬剤師などいろいろな職種が協力して行われます。
呼吸リハの効果
呼吸リハの効果として以下のことが科学的に証明されています。
- 1 .呼吸困難感が改善する
- 2 .生活能力(身の回りのことができるようになる・外出できる)が改善する
- 3 .不安や抑うつが軽減する
特に足腰の持久力訓練をすると息切れが著明に改善することがわかっており、それが生活の質向上につながると言われています。
また、胸・腹部の全身麻酔手術をする方の中には術後うまく痰を出せずに肺炎などの合併症を起こす方がいらっしゃいます。手術前から呼吸筋のストレッチ・呼吸練習・排痰法を習得する・全身持久力トレーニング(自転車みたいなトレーニングマシンをこぐ)などの呼吸リハをすることにより、
- 4 .術後肺炎を少なくする
- 5 .入院期間を短くする
ことができるのです。
下記に呼吸リハの対象となる方・リハビリテーションの内容を示します。ご質問があれば、遠慮なく担当のスタッフまでお声をかけてください。
呼吸リハの対象となる方
- A .急性発症した呼吸器疾患:肺炎など
- B .肺・食道などの胸部手術や腹部の手術を受ける予定のある方
- C .慢性呼吸器疾患:肺気腫・慢性気管支炎・気管支喘息・気管支拡張症などの肺疾患をお持ちの方で歩行時に息切れする方
※ | リハビリを受けられる期間はリハビリ開始日から90日という制限があります。 |
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呼吸リハの評価項目
呼吸リハを開始するにあたって下記の項目の評価が行われ、患者さまにあったプログラム作成、効果判定などにも使用されます。代表的な項目を記します。
- 胸部レントゲン写真
- 血液中酸素飽和度
- 呼吸困難感
- 酸素飽和度を測定しながらの歩行試験
呼吸リハの内容
患者さまのご病気・その程度を評価後、プログラムが作成されます。リハビリテーション科で関わるプログラムは下記のとおりです。
- (1) .教育・指導
- 呼吸法・排痰法の指導
- 生活にあわせた動作の工夫・福祉器具(ベッド・ポータブルトイレ)の紹介
- 息切れを軽減する動作の指導
- (2) .運動療法
- 歩行練習
- 上肢下肢、呼吸筋の筋力トレーニング
- 呼吸筋ストレッチ体操
亀田メディカルセンター リハビリテーション科