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より良い緩和ケアを目指して

2008/11/01

最終回は、より良い緩和ケアを目指して、これからどのような取り組みが必要なのか考えてみました。以下の項目について説明します。

Ⅰ.痛みの医療の改善

痛みは "第5番目の生命徴候"(バイタルサイン)と言われます。つまり、痛みは血圧、脈拍、呼吸数、体温などと同様に生命に関わる重要な指標とされるべきなのです。
世界保健機関(WHO)は、「痛い患者を放置する医療者は倫理的に赦されない」と厳しく戒めています。翻って日本の状況はどうでしょうか?客観的に見て合 格点にはほど遠い状況です。医療者は、「"痛みそのもの"では患者は命を落とさないから…」とさえ思っていたりします。救命救急医療のみを重視をしていた 従来型医療であれば、そういう考えも許されたかもしれません。しかし、全人的医療を目標に掲げる先進国レベルの医療では、診断や治療のどの過程でも、治療 や診断と同時に、痛みにも十分な注意を払い最善の痛みのコントロールを図ることが求められます。

Ⅱ.緩和ケアの地域連携

医療機関にはそれぞれの役割があります。
積極的な治療を行っている時の緩和ケアは、治療を受けている専門的医療機関で同時に提供されます。病状が進んで積極的治療の適応のない段階になると、どの場所で療養するのかが、QOLにとって最も重要な要素となります。
療養場所には大別して、自宅(在宅緩和ケア)、一般病室(緩和ケアチーム)、緩和ケア専門施設の3通りがあります。患者さまの状況と希望に沿って、療養場所が適切に選択できるような地域ネットワークシステムが今後の課題です。
先月「第1回南房総緩和ケア懇話会」が亀田で開催されましたが、この会を安房地域の住民、地域病院や診療所における緩和ケア従事者(多職種)らの交流の場とし、今後の地域連携活動の充実に繋げたいと考えています。

Ⅲ."より良い医療" は私達一人ひとりによって創造される

2000年に世界保健機関(WHO)が世界第1位と評価した日本の医療が今、大きな岐路に直面しています。医療現場での過酷な労働環境、医療安全面の問 題、深刻な医療不信、過疎地域での医療者不足、医療費の自己負担増、がん難民など、問題が噴出しています。これだけ広範で深刻な医療問題を目の前にして、 はたして私達は医療問題の解決のために自分で何か行動を起こしているでしょうか?
今ある医療は私達自身が自ら育ててきたものですから、自分達でこの責任を負わなくてはなりません。今の医療の様々な問題の解決の鍵は、結局は私達自身が 握っています。医療を自分の問題と認識し、一人ひとりが提供する側と受ける側の両方の立場を考え、問題についての理解を深め、行動することが重要でしょ う。医療者と患者側の双方の積極的参加によって作り上げる医療、医療者に頼らなくてもできるセルフケアの教育と実践、医療の現状についての情報共有、生活 とともにある医療の視点、人やいのちを大切にする医療の構築、心のケアなどの数字や統計には表れない部分の医療への理解、などが上記の諸問題の解決には必 須項目となるでしょう。

最後に

緩和ケアの充実は今後の医療における重要な課題のひとつです。広義の緩和ケア、すなわち『苦痛を感じている患者さまへの全人的ケア』が日本のどこにいて も、基本的医療として受けられるような医療を目指して、私はこれからも皆さんと共に考え、行動してゆきます。今後ともよろしくお願いいたします。

緩和ケア科医師 関根龍一

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