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専門分野としての緩和ケアの幕開け

2008/09/15

緩和ケアを取り巻く環境がここ数年めまぐるしい動きを見せています。最近、一般病院で緩和ケアチームは一気に全国中に広がり、緩和ケアが将来医療の一専門分野として、大きく発展するための第1歩が遂に踏み出されたと思われます。

全国のがん拠点病院に緩和ケアチームの設置が義務付けられたことを契機とし、それ以外の多くの一般病院にも緩和チームが新たに結成され、その総数は全国で約350チームを数えます。

この緩和ケアチームの拡大・普及の全国的動きはもちろん大歓迎ですが、問題はその活動の中身です。私の知る限り、この全国の緩和ケアチームの殆ど に、緩和ケア担当の専任医師はいません。緩和ケアチーム結成とともに、新たに緩和ケア担当に任命された医師の多くは、これまで通り自らの専門診療科の業務 を継続しており、緩和ケアチームの業務は忙しい業務の合間に週1回だけ行う回診のみといった、形式だけの緩和ケアチーム活動になっています。本来の緩和ケ アでは患者さまやご家族とじっくり時間をかけて、密にコミュニケーションを取ることが重要ですから、他の診療業務の片手間に十分な緩和ケア業務をこなすこ とは無理です。

この状況から脱し、国民一人ひとりが全国どこにいても偶然による当たり外れなく、一定レベルの充実した緩和ケアを享受出来るために何が必要か、以下に思い当たる項目を挙げてみました。

  • 緩和ケア専門医の育成(緩和ケア専門医教育制度の確立)
  • 緩和ケアを専門とする看護師やその他のコメディカルスタッフの育成
  • 一般医師の緩和ケア技能の向上(緩和ケアについての理解・意識の向上)
  • 一般看護師、コメディカルスタッフの緩和ケア技能の向上(緩和ケアの理解・意識の向上)
  • 医療全般におけるチーム医療の意識向上
  • 一般の方の緩和ケアへの理解・意識の向上

ところで、日本には緩和ケア専門医がいるのでしょうか? 答えは"NO"です。日本には現在、緩和医療の専門医制度自体が存在しません。これまで緩和ケアは他分野の者が片手間に行ってきた分野であり、専門分野としては扱われてきませんでした。

緩和ケアをこれから専門分野として扱うかどうかには、賛成、反対の両意見があります。賛成側は、"緩和医療は今後益々需要も増え発展する分野であ り、より専門性を高める必要もあり、専門医制度は是非必要"というものです。また、反対側の意見としては、"緩和医療は外科医、内科医あるいは麻酔科医ら がそれぞれの専門分野の仕事の延長として当たり前の医療として提供すべきで、特別に緩和ケアだけ切り離すのはいかがなものか?"という意見です。皆さんは どう思われますか?

日本の平均的な一般病院では、 緩和医療サービスの大きな需要に対比して供給状態はほぼゼロに等しく、このアンバランスの解消が待ったなしです。これには国民が全国どこでも等しく一定レ ベルの緩和ケアを享受できる体制の整備と緩和ケア専門医師を養成する専門医教育制度が不可欠です。

当院では全国に先駆けて、緩和ケア専門医研修制度(フェローシップ)を立ち上げ、今年からその第1期生が専門医研修を開始しました。今後は、当院 が緩和ケアサービスの提供のみならず、緩和ケアの専門医教育施設として全国のモデル的役割を担えればと思っています。また、当院では医師のみならず、看護 師やその他のコメディカルにおいても、緩和ケア領域の専門的技能向上とその教育内容の充実に向けて緩和ケアチームが中心となって今後も活動していきます。

緩和ケア科医師 関根龍一

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