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自宅での看取りと在宅緩和ケア

2008/08/01

皆さんは、人生の最期をどこで過ごすかについて考えたことがあるでしょうか?

高度経済成長期以前の医療が未発達な頃は、自宅死亡がごく当たり前でした。翻って現代は高度先進医療が日本全国に普及した時代です。どんな病気も病状が悪化すると、ベルトコンベヤー式に急性期病院に運ばれ、様々な延命処置を受けながら病院で死亡することになります。
治癒の見込みのある場合には、苦痛を伴っても治すための処置を受ける意味は大きく、病院療養が適当でしょう。ただ、難治性の病気で死期が近い場合、緩和ケ ア中心の医療の方が、残された人生(生活)の質(QOL)が高くなるケースが多くなります。その場合、どこで最期を療養するべきかは個々の患者さまによっ て異なります。
余命が極めて限られた場合、残された人生(生活)の質はどこで療養するかによって大きく異なってきます。このため、最期の療養場所については、一人ひとり が悔いのない決定を行い、出来れば状態の良い頃から患者さまご本人やご家族と医療者が十分に話し合っておくことが大切です。

最近の全国調査では、希望の死亡場所として国民の55%が在宅を希望、30%が緩和ケア病棟、一般病院を希望したのはわずか15%のみでした。実 際の死亡場所の内訳(がん患者)はこれとは大きく異なり、在宅6%、緩和ケア病棟5%、一般病院86%となっています。国民のほとんどが理想の死亡場所で はない一般病院で亡くなっています。
理想と現状のこの悲しくなるほどの大きな隔たりを今後どうやって埋めていくのかは、日本の数ある医療問題の中でも最大の課題の1つです。

住み慣れた家で家族に見守られ、最期を迎えられることは非常に幸運です。緩和ケアに精進した医療者チームが往診や訪問看護をして自宅死亡した場合に、ご遺族の看取り経験の満足度は一般病院での通常の看取り経験に比べ、有意に高いことが遺族対象の調査で示されています。
ただ、自宅療養が万人にとって最良の選択肢ではないことも理解する必要があります。がんの末期を自宅で過ごしたい場合には、以下の4つの満たすべき条件があります。(条件が整わない場合の自宅療養は実質的に困難で、行った場合はむしろ苦痛が大きくなるでしょう。)

  1. 1 .緩和ケアを熟知した医師や看護師による往診や訪問看護が可能である
  2. 2 .在宅療養に移行可能な病状である
  3. 3 .全体として在宅療養が実施可能な環境である
  4. 4 .家族らによる十分な介護力がある

当院では総合相談室(Kタワー1階正面)が、療養場所の情報提供、在宅医療の具体的な手続き、自宅療養が可能かどうかの評価等の支援を行っています。
また当院の在宅医療部では、往診・訪問看護が可能な地域にお住まいの方が自宅療養希望で上記の条件を満たす場合に、在宅療養を全面的に支援する体制を取っ ています。館山周辺地域の患者さまには、亀田メディカルセンターの分院施設の亀田ファミリークリニック館山(KFCT)から往診、訪問看護を行うことが可 能です。

現在、国は各地域の開業医を含めた、異なる大小の医療機関が協力連携するネットワーク作りを推奨し、在宅緩和ケアの普及を全国に呼びかけています。各地域で特色ある医療施設間の連携が強化され、どの地域でも必要な在宅緩和ケアが受けられる体制の整備が早急に望まれます。

緩和ケア科医師 関根龍一

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