スポーツ医学とは 4-スポーツ選手に多い膝前十字靭帯損傷
2009/08/15
今回はスポーツ選手に圧倒的に多い膝のACL損傷についてお話したいと思います。ACLといってもサッカーの「アジアチャンピオンズリーグ」のことではございません。「膝前十字靭帯(Anterior Cruciate Ligament)」のことです。
この靭帯はどこにあるかといいますと、右図にお示しした通り、太ももの骨とすねの骨の間にあります。そしてどういった働きをする靭帯かといいますと、すね の骨が太ももの骨に対して相対的に前方にずれるのを防ぐ大切な働きをしております。また、すねの骨が太ももの骨に対して捻れるのを防ぐ役目もあります。 | ![]() |
どういったことで膝の前十字靭帯損傷が起こるかというと、たとえばサッカー、ハンドボールなどにて相手選手をフェイントでかわそうとして膝が捻じれた時に発生します。マイケル・オーウェンなど有名サッカー選手も同様の受傷をしております。
またラグビー、アメフトのタックルで相手選手が膝の外側から直接ぶつかってくることでも起こります。さらにはバレーボール、バスケットボールなどでは空中 で相手選手と接触することで着地のタイミングがずれ、筋肉の収縮(すなわち関節の保護)が着地と同時に起こらないことで靭帯が損傷する、と最近の研究では いわれております。
この前十字靭帯損傷に対してこれまでに多くの手術方法が行われてきました。
膝の前にある靭帯を用いて靭帯をつくる方法などがありましたが、大きな欠点がありました。床からの立ち上がり動作が多い日本人においては膝の前面の痛みが出現しやすかったのです。また、すねの骨の前方へのずれを改善できても捻れを改善できませんでした。
そこで、当院では最も術後に痛みが少なく、またすねの骨の動きを正常に近い形に戻すことが可能な最先端の治療法を行っております。これは膝の前面の靱帯で なく、横にある腱を用いて図に示したように2本の束で修復する方法で、前方へのずれ、捻れのいずれも改善する術式で現在最も良いとさえ言われております。
このように当スポーツ医学科では最先端の治療法を行えるように、医師、理学療法士が常に新しい技術を身につけております。ぜひ膝の前十字靭帯損傷でお悩みの方は当院「スポーツ医学科」にてご相談ください。
スポーツ医学科 大内洋
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