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就労環境 3~就労支援 続き~

2011/11/01

前回は高次脳機能障害者の復職までのお話をしましたが、今回はその後のお話です。

復職までは、『復職すること』が目標でしたが、その後の支援は必要ないのでしょうか? 私たちは職場で日常的に、いろいろな問題に遭遇します。上手く対応し周りの人に助けられながら働き続けるわけですが、上手くいかなくなると、精神的につらくなり、働けなくなることもあります。働き続けるということは、とても大変なことだと思います。

高次脳機能障害者は復職後、まず職場に慣れることが大切です。周囲は障がいに配慮をしながら一緒に仕事を行っていくわけですが、働き始めた後、時間を経て問題が浮上することがあります。

【Aさんのその後】

前回のお話で『障害者雇用』の枠で復職をしたAさん。最初は勤務時間を半日にしてもらい、徐々に増やしていきました。

定期的に通院をされるリハビリでは、「特に困ったことはないです」と、ご本人はお話されていましたが、3ヶ月経ったあるとき、支援コーディネーターのもとに職場の上司から連絡が入りました。「このまま働き続けられないのでは? 仕事の内容を変えた方がいいのでしょうか?」 というご相談でした。詳しく話を聞くと、最初は、体を慣らすために一つ一つ丁寧に、休みも入れながら仕事をしてもらっていましたが、徐々にうっかりミスや、報告をしない等、気になる点がでてきたとのことでした。作業や、パソコン入力等はかなり速く的確に仕事ができるのに、なぜ簡単な日常報告ができないのか。また、仕事の内容でわからないことがあったとき、聞くことができないのかとの周囲の評価でした。その結果、他の職員とAさんの間に誤解が生まれ、「間違った点を指摘しても、何度も同じ間違いを繰り返し反省しているようにみえない」、「やる気がないのでは」といった職場の評価につながり、溝ができてしまったということでした。

【誤解されやすい高次脳機能障害の特徴】

Aさんは、決してやる気がないのではなく一所懸命でした。ですが、高次脳機能障害の特徴として、声をかけるタイミングや、メモをとるタイミングがわからないため、同じ誤りを繰り返していたようです。また、最初は休憩も多いため注意も続きやすく、覚えやすいペースで仕事ができました。しかし徐々に休憩の回数はAさんにとって少なくなり、疲労により、注意や記憶等、苦手な面が強調されてしまうようになったと考えられました。誤解されやすい理由としては、

  • 体の不自由はほとんどない。
  • 体力はあっても疲れやすい「脳」なので、こまめな休憩が必要になる。
  • できることと、できないことの差があるが、どこまでが症状であるのかはっきりしない。

その後、Aさんの職場の方ともう一度話しをし、再度できることとできないことの特徴と、慣れた仕事でも休憩を適宜とってもらうこと、メモのタイミングは促してもらうこと等、配慮すべき内容を再確認しました。

【定期的な関わりの必要性】

言語聴覚士や支援コーディネーターの関わりは、「低頻度で長期的に」が重要だと思います。「何かあったら相談する」ということでは、すでに周囲と上手くいかなくなり、修正が難しい状況になってしまっているケースがあるからです。定期的に会うことで、何事も無く上手くいっているときの状況も評価し、環境が変わるときや問題が起こったときに、調整をしていくという役割があります。

就労環境は様々で、問題なく働くことができる場合もありますし、様々な支援が必要な場合もあります。高次脳機能障害支援コーディネーターを中心に、当地域でも支援の充実を図っていきたいと思います。

亀田クリニックリハビリテーション室 言語聴覚士 二ノ形 恵

亀田クリニックリハビリテーション室

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