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就労環境 2~就労支援~

2011/10/15

今回は就労支援についてです。

高次脳機能障害者の多くは、これから就職活動をする10~20代や、すでに仕事に就き、大きな役割を担っている30代~50代の方が多いため、当然、『就労』についての問題がでてきます。

高次脳機能障害は、数年という長い時間をかけて徐々に改善します。しかし、完全に以前の状態には戻らない場合も多くあります。どの時点であっても、どの程度良くなるかがわかりにくい障害なのです。そのような特徴を持つうえ、就労環境がひとそれぞれに異なるので、当然 『仕事が出来る基準』 も存在しません。そんな中、どの時期にどのような方法で仕事に戻るのか、ご本人やご家族の希望に沿い、職場の方、医師、支援コーディネーターやリハビリ、相談室等で連携し検討しています。

では、就労支援が実際にどのような流れで行われるのか、40代男性・Aさんを例にご紹介します。ここでご紹介するのは実際の患者さまとは関係ありません。

【入院から退院まで】

Aさんは交通事故で頭を強く打ち、亀田総合病院へ搬送されました。急性期のさまざまな治療と、作業療法、言語療法などのリハビリテーションが開始され、その結果、意識は徐々に改善がみられ、手足の麻痺はなく歩けるようになりました。しかし、数時間前に会った人のことを忘れる、物を置いた場所がわからなくなってしまう、混乱するとすぐ怒鳴る等、気になる点がみられました。

その後、亀田リハビリテーション病院へ転院し、自宅へ帰る準備を行います。日常の生活動作が何とかできるようになり退院されましたが、入院中のさまざまな検査で、「物を覚えておくこと」や 「様々な刺激から優先順位を判断する」、等が難しいことがわかりました。生活の中でよく見られた「物を置いた場所がわからなくなる」「何度も同じことを繰り返す」という行為はこのためです。

【退院してから】

退院後、日々の生活はそれなりに過ごすことができましたが、仕事をしたいという思いが強くなり、外来リハビリで復職について相談しました。相談をうけた言語聴覚士は、支援コーディネーターらと復職を企画しました。

Aさんは受傷前に働いていた会社へ戻ることを希望されました。しかし、職場で出来る仕事もあるのですが、仕事全体に対応をすることは難しいという判断になりました。では、どうすればいいでしょうか? 新たな就職場所を一般就労として探すことも可能ですが・・・

そこで、精神保健福祉手帳を紹介され取得。手帳の取得により、障害者就業・生活支援センターへ登録し、就労支援のサービスも受けることができます。また、障害の特性に応じた配慮をしてもらうことができる「障害者雇用」の枠で復職となり、元の職場でAさんにできそうな仕事を工夫してもらえるようになりました。

【復職の前に】

職場から「高次脳機能障害とは、初めて聞くがどのような症状なのか?」との声がありました。

そこで職場の方とさまざまな形でAさんの高次脳機能障害について情報交換を行いました。「一度に沢山の情報は覚えにくい」「優先順位がつけられない」ということには、「メモを取る、または紙に書いて渡す」や「あらかじめ必要な順番をつけておく」「時間を決めておく」「一つ終わったら報告して再度順番を決め直す」「パソコンなどの作業は速くて正確に出来る」等、配慮すべき点や出来る仕事について話し合いました。

このようにして、障害者手帳を取得し職場と調整することで仕事に戻ることが可能となったのです。
次号は、働き続けるための関わりについてお話しします。

亀田クリニックリハビリテーション室 言語聴覚士 二ノ形 恵

亀田クリニックリハビリテーション室

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