ページの先頭です

閉塞性脳血管障害と脳血管内治療

2004/10/15

引き続き60~70歳代の方に最近増えている脳塞栓症についてお話します。話が少しややこしくなってきているのでもう一度簡単におさらいします。
脳血流障害によって起こる脳梗塞は脳血栓症と脳塞栓症にわけられます。動脈硬化による脳血管の閉塞または狭窄によって起こるのが脳血栓症、他の部位(心臓や頸部)で生じた血栓が剥離して流れていき、脳血管を閉塞することによって起こるのが脳塞栓症です。

この塞栓症は脳卒中の約1/4を占め、他の型の脳卒中に比較し重篤で、しばしば致死的あるいは重篤な神経学的後遺症(運動麻痺、視覚・聴覚を含む感覚障害や失語症など)を引き起こすために、介護など社会的・経済的負担をもたらす大きな原因ともなっています。それゆえ急性期に適切な診断と治療を施し、早期のリハビリを可能にすることがこの疾患を克服するカギなのです。

頻度の多い、中大脳動脈の塞栓症に対する脳血管内治療(動脈内局所血栓溶解療法)が有効なのは発症から3~6時間以内の超急性期症例で、またMRIの検査であきらかな脳梗塞や出血病変が無いこと。つまりまだ多くの神経細胞が生きていること。他にも多くの要件を満たしていないと治療できません。それは血栓溶解剤は出血傾向を招き、脳梗塞から脳出血へ移行するいわゆる出血性梗塞の危険が常にあり、脳出血が拡大した場合は生命予後も極めて悪いからです。梗塞になった組織は脆弱で血管壁ももろく、もし再開通した場合でもこの出血性梗塞に移行してしまう可能性が高く、この血管壁のもろさや薄さが、心臓病と異なり脳卒中治療を難しくしている要因のひとつであります。

またこうした疾患を入院からリハビリまで一貫して診断・治療するためには24時間対応でMRIや脳血管撮影などを施行できなくてはならず、都市部でもそうした機能の充実した病院は意外にも少ないことが近年問題になっております。

写真は心臓から血栓が飛んで脳血管が閉塞した症例のMRIによる血管像。左は中大脳動脈が閉塞している状態。右は脳血管内手術により再開通した様子

文責:脳神経外科 田中 美千裕
<脳血管内治療担当部長>

医療法人鉄蕉会 医療ポータルサイトについて

本サイトは、 医療法人鉄蕉会 が運営しております。