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脳動脈瘤の血管内治療(その2)

2004/08/15

この新しい治療法の長所は・・・

1.開頭する必要が無い

頭皮を切らない手術なので、体への負担が少なく(低侵襲)、また、開頭術にくらべて、脳や神経組織を損傷する可能性が極めて低いので、術後回復も早い。創部が無いので、感染症や髄膜炎等の起きる可能性がほとんど無い。輸血の必要が無い、頭皮に傷が残らないなどの利点があります。

2.脳深部の動脈瘤も安全に処置できる

開頭手術では到達することが困難だった深部の瘤に対しても血管内治療ではより安全に治療が可能となりました。

3.治療中に脳血流を評価できる

治療中に血管撮影により脳の循環動態を把握しながら治療ができる。

4.繰り返し施行できる

たとえ、初回の治療で病巣の処置が不十分だったとしても何回でも繰り返し治療できるので、特に脳動静脈奇形などにおいて、治療戦略が立てやすいといった利点もあります。
しかし、どんな最先端の治療法にも短所や危険性はあります。

この治療法の短所は・・・

1.本格的に導入されてからまだ10年ほどしか経っていない

10年以上の長期治療成績がまだ不明な点です。3~12%の率で術後にコイル塊が縮み、瘤が再び大きくなることがあります。また、ごくまれではあるが、再破裂の可能性が報告されております。

2.瘤内での血栓形成による脳梗塞の危険

脳動脈内でカテーテルやコイルを操作しているため、血管内壁の損傷などから血栓ができて、脳梗塞を起こす危険があります。ヨーロッパや北米の有名な施設においても2~8%の率で血栓症が起こります。ただし、これが原因で後遺症の出る危険性は2%以下です。

3.瘤内でカテーテルを操作することから、術中破裂の危険があります

学会誌でのレポートでは、その危険は従来の開頭手術によるものと等しいか、それ以下と報告されております。

4.完全閉塞できない例がある

瘤のサイズ、形態や周辺の重要血管との関連から、完全閉塞が不可能な例があり、クリッピングの方が適しているケースもあります。

どんなに素晴らしい治療法にもマイナスの面があります。しかしこのマイナスの面を充分に明らかにして、患者さまにも納得がいくまで説明させていただき、充分に理解していただいた上で治療戦略を立てることが大切です。何よりも、治療方法の選択肢が増えることは患者さまにとって福音であることは間違いなく、また今日では高解像度のCTやMRIそして脳血管撮影装置のおかげで、術前に充分な情報が得られるようになってきており、医療材料の進歩と共に、今後さらにこうした短所が克服されていくものと思われます。

文責:脳神経外科 田中 美千裕
<脳血管内治療担当部長>

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