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歯周病から歯を守ろう

2013/07/01

はじめに

お口の機能はみなさんよくご存知のように、食べ物を口に入れた時にまず咀嚼して唾液を利用しながら食塊を形成し、舌などを使って咽頭に食塊を送り込むという栄養摂取(消化)の最初の過程があります。このような機械的な意味合いだけでなく、味覚や触覚などの感覚も動員することによって、食の満足など精神的な部分でも役立っています。また会話のために必要な発音にも大きく関わっています。したがって人が栄養維持を保つために、また社会的な活動を維持し生活を楽しむ上でも、口腔は大切な役割を担っている器官ということです。

では、歯はどうでしょうか?歯は口の中にあって元来補食から咀嚼までの過程を引き受ける硬組織器官で、身体の内部から外部に突出する極めてまれな器官です。そしてエナメル質というほとんどが無機質からなる歯冠部分は細胞が存在しない死の世界であり、生きた細胞からなる歯肉上皮と接しています。一応接着という機構を介して身体の内部が露出しないように封鎖されていますが、微小物質は交通できてしまうデリケートな構造です。

これらの大切な役割を担う器官にとっての大敵は、口腔内に共棲している、すなわちわたしたちが生まれてから一緒に生活をしている口腔内の細菌たちです。この細菌たちが流浪の民であればさして問題は起こさないのですが、一度歯肉近くの歯の表面に集落(プラークあるいは歯垢、最近ではバイオフィルムとも呼びます)を作り居座りだすと、そこで産生されるいろいろな物質によって歯肉に炎症が生ずるようになり、時間経過とともに歯と歯肉の結合が破壊され、歯周ポケットという構造ができてしまいます。この歯周ポケットという構造は細菌にとって特に空気の嫌いな歯周病原性菌には絶好の住環境となってしまい、プラークを構成する細菌が量的にも質的にも悪い方向に変化していきます。この状況をそのまま放置してしまうと、歯周病進行の悪循環に陥ってしまいます。

成人の8割が歯周病

最近はテレビ番組やコマーシャルでもよく取り上げられる歯周病ですが、それはこの罹患率の高さと「SILENT DISEASE(沈黙の病気)」といわれるようにある程度の段階までは自覚症状があまりなく、症状がでるようになった時にはかなり進行した状態になっていることも多く、歯を喪失するレベルに至ってしまっていることも多いです。まず診査で現状を把握し治療を受けましょう。

本当に恐ろしい歯周病

歯周病が進行すると歯周ポケットが深くなります。28歯全部が中等度の歯周病になっていると、歯周ポケットの総内容量は500MLのペットボトル約1本分に相当すると云われます。細菌の詰まったペットボトル1本を想像してみてください。恐ろしいですね。またこの状況での歯周ポケットの総表面積は約50~60cm²と云われます。このサイズのびらん状態(ただれくずれること)の粘膜面が口腔内にあると考えると、これも恐ろしいことですね。これらの例えがかなり大雑把な表し方ではあっても、容易に菌血症の状態になることは想像がつきます。したがって、最近話題になっている、歯周病が心臓疾患、動脈硬化、糖尿病、呼吸器疾患、早産(低体重児出産)、認知症等々に影響を及ぼしているということも、よく理解できますし、メタボリックドミノの一つの駒になります。負の連鎖に陥らないために、歯周病の検診を受けて早期に治療することが、全身の健康のために大切なことになります。

歯周病をコントロールしよう!

  1. 1 .毎日のコントロール:個人のプラークコントロール(歯冠部の清掃)
  2. 2 .定期的なコントロール:専門家によるプラークコントロール(歯周ポケット内の清掃及び歯石除去)

1と2は歯周病の予防法であり同時に基本治療でもあり、欠かせぬ両輪です。

予防と治療のポイント

  • 自分の健康には能動的・積極的になること。
  • ブラッシングとフロッシング(あるいは歯間ブラシ)をかかさないこと。
  • 歯周病に効く歯磨き剤やうがい薬には頼らない。
  • かかりつけ歯科医を見つけそしてマイ歯科衛生士を見つけおおいに利用しよう。
  • 3~4ヶ月に一度は定期的なチェックのために歯科医院に行く。
  • 歯肉炎を放置しない。

◎これらのことを心掛けることによって、歯周病から歯を守り、全身に悪影響を及ぼす菌血症が予防できるのです。

歯科センター非常勤歯科医師 花村裕之

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