スポーツ医学科の新しい試み(スポーツ医学科の守備範囲)
2019/3/15
スポーツ医学科とは
「自分はスポーツやってないので、スポーツ医学科は受診できないですよね…」よく耳にする質問です。このような声を聞くたびに、スポーツ医学科の扱う範囲ってそんなに狭くないですよ! と声を大にして叫びたくなります。
スポーツ医学は、なにも部活などスポーツをしている学生やクラブチームに所属しているアスリートの方に限った医療の話ではありません。例えば、会社員や主婦の方が肩・膝・腰・足の障害のために仕事に支障がある場合、スポーツ医学科の治療を受けていただくことで改善が期待できます。アスリートをスポーツに復帰させるプロセスと、会社員や主婦の方を日常生活で支障のないところまで回復させるプロセスは同じなのです。
2009年7月に大内 洋(おおうちひろし)主任部長がスポーツ医学科を立ち上げてから、早いもので10年が経過しました。この間スポーツ医学も大きくバージョンアップしました。
今回の連載では、10年前には存在しなかったスポーツ医学の新しい医療を12回のコラムに分けて紹介させていただきたいと思います。
スポーツ医学科の新しい試み
まずは最初に紹介したいのが内科の医師によるスポーツへのアプローチです。日本ではスポーツ医学というと整形外科医が筋肉や靱帯や骨を扱っているイメージがありますが、海外では内科の医師がスポーツ医学に携わることの方が多いです。このようなグローバルスタンダードを実践しているのが「総合スポーツ外来」の竜 彰(りゅうあきら)医師・濱井彩乃(はまいあやの)医師です。今回の連載では、竜医師から「筋力が落ちるってどういうこと?」を、濱井医師からは「喘息と運動・スポーツ」について熱く紹介してもらいます。是非実際にお二方の外来も受診してください。
続いて女性アスリートについて紹介するのが大内久美(おおうちくみ)医師です。私自身(服部)も女子ラグビーの日本代表チームのチームドクターをしておりましたが、パフォーマンス向上のために女性特有の問題(月経など)は避けて通れない問題です。また蔵本理枝子(くらもとりえこ)医師からは、人間ドックならぬ「スポーツドック」について紹介します。今年の夏より運用開始しますので是非ご利用ください。さらにはスポーツ鍼灸についてオルカ鴨川BU現役選手である佐藤衣里子(さとうえりこ)鍼灸師が紹介します。オルカ鍼灸院へ是非みなさま足を運んでください。
以上からお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、これまで紹介したスタッフは竜医師を除き全員が女性です。
これが新しいスポーツ医学科を象徴しています。
男性スタッフも負けじと新たな医療に挑戦しております。
スポーツ医学科のセールスポイントは関節鏡というカメラを使った手術ですが、今やエコーを使って体への負担が究極的に少ない手術に取り組んでいます。その先鋒が髙澤修三(たかざわしゅうぞう)医師で、エコーを駆使した低侵襲治療について某有名スポーツ医学雑誌から依頼があり原稿を掲載したところです。さらにはメスを使わない再生医療として注目されている多血小板血漿療法については、山田 慎(やまだしん)医師が日本で有数の症例数を行なっております。その効果と仕組みについて熱く紹介します。再生医療といえば、これまでの医療では軟骨は再生しないというのが常識でした。その常識を覆しているのが加藤有紀(かとうゆうき)医師です。軟骨を再生させる治療においては国内1~2の症例数を誇っており、遠くは四国・九州から来院される患者さまもいらっしゃいます。今回のコラムでもその神髄を紹介いたします。
今年、来年とラグビーワールドカップならびに東京オリンピック・パラリンピックという超ビックなスポーツイベントが日本で開催されます。スポーツ医学科スタッフはその医療の中核を支える予定です。コラム最終回ではその点を紹介させていただきます。次回からのスポーツ医学科のコラムを楽しみにしてください!